Richard Atwell サーニッチ市長地方選挙に敗れる

周知の様にカナダ西海岸の「バンクバー島」と言うのは、本土にあるバンクバー市とは何ら関係なく、ジョージア海峡を隔てた島である。とても不思議なことなのだが、ここにはブリティッシュ・コロンビア州の州都であるビクトリア(Victoria)市がある。

 

「不思議」と言うのは、フェリーなら1時間半、飛行機でも20数分はかかる離れ島に州都があるのは何かと不便で、「どうしてここに?」と思うからだ。カナダを余り知らない人は、「バンクーバー」という名前が同じために、二つの地理的関係がよく分からずにいる人もいるようだ。

 

まして2010年には冬季オリンピックが本土のバンクバー市で行われたため、そこが州都と思っている人も多く、過日出会った日本からの観光客は「ここに来るまでその違いがハッキリと分からなかった」と漏らしていた。

 

 

そんな不便さはあるものの、州都のお陰で当市には連邦政府、州政府、地方自治体など政府関係に働く人がそれこそワンサ、ワンサといて、雇用を生み出しているのだ。また他にも「知る人ぞ知る」の産業として、IT関連のビジネスがかなり盛んとも言われている。

 

では経済的、文化的、社会的に活気がある町かと言えばそれは「NO」であり、やはりここは島であり、島のメンタリティーがあり、島の生活なのである。

 

勿論それがいいと言う人は多く、また寒冷国カナダの中では地中海性気候の影響で気候が一番温暖なため、本土のそれぞれの町で長いこと仕事をしていた人々が、リタイア後に当地に国内移住してくる人が多い。そのためシニアの人口は、例えばビクトリア市では約21%で5人に一人は65歳以上と言うことになる。

 

元来この島は先住民族(カナダでは「インディアン」と言う言葉はどうしても必要な時以外は使わない)の土地であったのだが、18世紀後半に交易を目的に西進して来たイギリス人らとの接触によって外部の経済に取り込まれていった歴史がある。

 

その後1867年にイギリス自治領が確定すると移住が増大し、鮭の缶詰製造を始め、水産加工工業や林業・製材業などの開発が進み、同時に法律によって先住民たちは伝統的な慣習を禁止されるなど多くの悲劇を味わったのである。

 

これは大変な悲史であるものの、一方これらの産業の発展のお陰で第二次世界大戦以前迄は、日本からの移民を増やし西海岸地域に定着し日系カナダ人は経済的な礎を築いたのである。(第二次世界大戦が勃発すると共に日系人は、根こそぎロッキー山脈の麓の強制収容所に送られた)

 

当時9カ所あった本土の強制収容所の中で最大の規模であったタシミ(Tashme)収容所跡には、ミュージアムがあり後世に負の遺産を伝える目的で保存されている

 

その英国統治の歴史的名残りは、今でも通りや建物の名前などに「Royal、King、Queen、Prince、 Princess」と言ったものが滅多やたら存在するし、欧州の本国や移住後に当地で業績を残した人々の名前も「これでもか!」と言うほど残っている。

 

加えてその当時地域を統治していた政治的分布が今も存在するため、バンクーバー島の南半分のこの小さな場所に、地方行政管理地域が数えるのに一苦労するほど存在するのである。

 

実は2週間ほど前に地方行政レベルの選挙が行われたのだが、自分の住む市町村以外の立候補者たちの詳細を把握するのは至難の業であった。

 

さて当欄の9月20日に書いたSaarnich(サーニッチ)市は、Victoria市に隣接する市であるが、3地域(Saarnich,Central Saanich, North Saarnich)に分かれている。私の訳本を買って下さったRichard Atwell氏はSaarnich市の市長であったが、残念ながら市長職を失ってしまった。

 

2014年に選出された時はIT企業に勤めたいた精鋭との売り込みで、それ迄の市長は4期も続いていたために新顔が欲しかったから、と言う事らしい。だが市長の座に着いてからは、公金の使い道が荒かったとか女性問題などが絡んだから・・・と言う事で人気を失ってしまったようだ。この地域に住む友人は「してやったり!」と思ったと言う。

 

今や女性問題が絡むと命取りになることは、世界中に広がるうねりで大変に結構なことだ。しかし「人を心から好きになる、愛する気持ちを持つ」と言うのは人間にのみ与えられた、良識では割り切れない感情でもある。

 

広島の廿日市市と姉妹関係を結ぶことに力を注いだ前市長Atwell氏。

被爆した広島の銀杏から取れた種で育った苗木がSaarnich市に送られ、庁舎の前庭に移植されている。

 

だがトランプの様に愛もへったくれもなく不特定多数の女性と「わいせつ行為」を行い、それを自慢し、問題になると「フェイク」だと言い、弁護士を使って口止め料を払い・・・などという輩でも多数の女性票を集めて一国の大統領になるのだから、有権者の感情と言うのは不思議なものである。

 

それにしても 4年ぶりの「ねじれ議会」が生じた昨日(6日)の米中間選挙は、「トランプの評価」を巡って生じた米国民の大いなる迷いであった事が如実に表れていて隣国に住む者としては特に興味深い。

 

 

一方ビクトリア市のLisa Helps氏は、次席と4000票も引き離し再選した。どの政治家も100点満点を得ること等はあり得ないため、彼女への批判が大いにあったのは事実だったが公平な民意が反映したと言えるだろう。

 

当市は岩手県の盛岡市と姉妹都市で、Helps氏はその関係維持に力を注いで来た。友好関係が今後も密に続くことを期待したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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