友人の7年目の命日−Victoria 市にて



yumi san
   トロント エッセークラブ季刊文集『華やぎ』 
        2014年 秋号



今朝私は、数え切れないほどのカモメの大群が、大空を
舞いながら鳴く奇妙な声で目が覚めた。


ゆみさん

急いで居間から外を見ると、驚くほど鉛色に曇った海と
空が目の前に広がっており、天の一角に僅かばかりに陽

ぼ光が見え、これから始まる一日の光明を多少ながら
見せてくれていた。


今日はシェマーゆみさんが亡くなって丸7年目になる。

私はヴィクトリアに国内移住を決めてからこの方、最初の
年の、この日には、必ず彼女の「その場所」を訪れ、一輪
の花を手向けたいと思っていた。


移住以来、当地の多くの日本人移住者とコンタクトを取っ
たが、詳細の情報を得るのは決して易しいものではな
かった。
知ってか知らずか「さあ、分かりませんね・・・」と言う
のが大方の人から得る答えだったのだ。

それでもツテを頼ってコンタクトをし、やっと詳細が分
かったのは命日の
3日前であった。

トロントのような大都会と違い、ヴィクトリアは小さな
街である。全く予想だにしなかったものの、私はすでに
その近くに用事で何度か行ったことがある。

だが今日改めて出かけてみると「ここだったのか!」
という、言葉に尽くせない複雑な思いに駆られ胸が
締め付けられるようだった。



Yumi san

ダウンタウンにある市営駐車場の7階。料金所に働いてい
た女性は、当時すでにここで仕事をしていたとのことで
「覚えているわ・・・」と静かに話し出し私の手を握って
くれた。




その7階まで私は一人で昇り、ゆみさんが最後に見たで
あろう景色を深い溜息と共に
360度眺めた。


Yumi san

yumi

そして地上の「その場所」に降りの植え込みの根元に
一輪の薔薇の花をそっと置いた。


Yumi san

無事に土に還れと祈りつつ・・・。

ふと脇を見ると、見事なほど真っ赤に紅葉した落ち葉が
たった一枚輝いていて、私は「
ゆみさんの変身・・・?!」
と思わず手を伸ばして拾った。


Yumi san

手帳にそっと挟んで持ち帰ったのだが、数日後、静かな
凪ぎの日を見計らって近くの海に流した。


ゆみさん

無事に海に還れと祈りつつ・・・。





 


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